治療した歯は悪くなりやすい?長持ちさせるためには日頃の意識の変化と力のコントロールが重要!
こんにちは、中道歯科医院です。
今回は治療した歯を長持ちさせるための秘訣についてお話しします。
「せっかく治療したのにまた悪くならないかな、、、」
「神経をとった歯は長持ちしないと聞いたけど本当、、、?」
多くの方が、治療した歯に対してこんな不安を抱えています。
実際、治療した歯や神経をとった歯は、何もしていない歯に比べると弱くなりやすいのは事実です。
でも、それは「必ず悪くなる」という意味ではありません。
大切なのは、治療後の歯をどう守るか、どう使うか。その“使い方の工夫”によって、歯の寿命は大きく変わっていきます。
今回はそんな話をしていきますね。
お話の前に、、、
当院の待合室には、ちょこんと並んだサボテンたち🌵が皆さんをお出迎えしています。
小さな植物ですが、毎日少しずつ成長していく姿は、どこか歯の健康と重なります。
ご来院の際はぜひサボテンたちにも会っていってくださいね。
治療した歯はなぜ悪くなりやすいの?
治療した歯は「むし歯を取って詰める」「神経を取って被せる」などの処置を受けています。
一度手を入れた歯は、残念ながらまったく治療していない歯より弱くなる傾向があります。
理由を整理すると次の通りです。
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削った分だけ元々の自分の歯が薄くなる
むし歯を取るために削ると、歯の“厚み”は元には戻りません。
壁が薄いとヒビが入りやすく、外からの力に耐えられなくなります。 - 神経を取った歯は「乾いた木」状態
神経を失った歯は血管からの栄養や水分供給がなくなります。
すると歯の組織は乾燥した薪のように脆くなり、強い力でパキッと割れてしまうのです。 -
感覚が鈍くなり、負担に気づきにくい
「冷たい」「熱い」「しみる」といったサインが弱くなり、知らない間に強く噛み続けてしまうことがあります。
その結果、ヒビが進行して突然割れることも。 -
詰め物・被せ物の隙間から再むし歯
接着剤やセメントは時間とともに少しずつ劣化します。
わずかな隙間からむし歯菌が入り、再びむし歯になることも珍しくありません。 -
噛む力の集中
治療後の形は、ほんの数十ミクロンの違いでも力のかかり方が変わります。
特定の歯に負担が集中すると、その部分から破折が始まります。 -
夜間の食いしばり・歯ぎしり
睡眠中は自分の体重に匹敵するほどの強い力がかかることもあります。
これが「縦に割れる」最大の原因になるのです。
歯を守るカギは「噛む力のコントロール」
では、どうすれば治療した歯を長持ちさせられるのでしょうか?
その答えは、歯にかかる力を日常の中でうまくコントロールすることです。
① 日中:歯は“離れている”のが正常
食べている時以外、上下の歯は軽く離れているのが正しい状態です。
ところが仕事やスマホ、考え事をしていると、無意識に歯を触れさせている方が多いのです。
これを「TCH(歯列接触癖)」といいます。
「舌は上、歯は離す、くちびるはそっと」。
舌先を上あごの前歯の少し後ろに置くだけで、自然と歯は離れ、顎の力も抜けます。
② 食事中:ゆっくり閉じるだけで衝撃は1/4に
歯が欠けるのは食べ物が硬いからではなく、噛み切ったあとに上下の歯が勢いよくぶつかるから。
口を閉じるスピードを半分にするだけで、かかる力は1/4に減ります。
「最初のひと噛みをスローモーション」。
硬いものを避けるのではなく、噛み方を変えることが歯を守る秘訣です。
③ 夜間:マウスピースは“補助具”にすぎない
マウスピースは力を分散させますが、食いしばり自体を止めるわけではありません。
まずは日中・食事中のコントロールができてから、必要に応じてマウスピースを使うのが正解です。
さらに、寝る前に深呼吸・ストレッチ・枕の見直しなどで全身の緊張を減らすことも効果的。
中道歯科医院ができるサポート
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・噛み合わせのチェックと微調整
強く当たりすぎている場所や歯に悪い当たり方をしている場所の調整 -
・被せ物で歯を“囲う”補強設計
歯が薄いところは割れてきてしまいます。
歯はできるだけ削らないほうがいいことは確かですが、二次的な喪失を減らすために部分的な被せ物ではなく被せるタイプの被せ物を選択することもあります。 -
・素材の硬さを隣の歯や噛み方に合わせて選択の提示
場所に応じて被せ物の適性は変わってきます。 -
・定期メンテナンスで小さなヒビや二次むし歯を早期発見
なによりもう一度治療することにならないことが大切です。
悪くなる前に悪くなる期間をできるだけ長くするための行動をしましょう。
今日からできる3つの習慣
今からできる、意識を変えるための行動をお知らせします。
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スマホを見るたびに「歯は離れてる?」をチェック
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最初のひと噛みはスローモーション
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就寝前に1分の深呼吸(5秒吸って5秒吐く×6回)
最後に
神経を取った歯や治療した歯は、確かに割れやすく、再治療のリスクも高まります。
でもそれは必ず短命になる運命というわけではありません。
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力をかけすぎない習慣
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正しい噛み方
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歯科での定期チェック
この3つを積み重ねれば、治療した歯でも十分に長持ちさせることができます。
「もう治療してしまったから仕方ない」と諦める必要はありません。
むしろこれからの習慣が未来の歯の寿命を決めるのです。
ぜひ今日から、小さな一歩を始めてみてください。
治療はゴールではなく、新しいスタートです。
治療した歯を守るためにできることは、実は日常の中にたくさんあります。
「今日からできること」を一歩ずつ積み重ねていけば、きっと歯は長く元気に働いてくれます。
中道歯科医院では、皆さんが安心して笑顔で過ごせるように、これからも全力でサポートいたします。
北九州市小倉南区徳力
中道歯科医院 院長 島崎陽三